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日本の女性研究者の割合は14.4%であり、諸外国と比べて低い数値であると言われています。とりわけ、理工学分野の研究者に占める女性割合は9.7%,理学分野,農学分野でも1割台にとどまっています*1
しかしなぜ、女性研究者の数が問題となるのでしょうか。
実際にはなにが問題となっており、どのような対策が可能なのでしょうか。

研究者における性別不均衡については、世界的な関心事項となっています。
2016年12月9日に開催した女性研究者研究支援事業総括シンポジウム「つなげてつながる創造力」にて、大坪久子先生(日本大学薬学部薬学研究所上席研究員)が講演中に紹介されたBeyond Bias and Barriers: Fulfilling the Potential of Women in Academic Science and Engineering (『偏見と障壁を超えて――科学・工学分野で女性が能力を発揮するために』)をご紹介します。

米国アカデミー出版局が2006年に発刊したこの本では、理系分野における女性研究者のキャリア形成についての調査報告と、現状改革のための提言がなされています。問題意識は次のように記されています。

img学術機構における指導的地位に占める女性の割合は、その地位につく能力を持った女性の数に比して低い。
一般的に、女性は同僚の男性たちよりも受けられる資源や支援が少ない。
全科学・工学の分野に渡って学術界に参画するために、知的能力を最大限に発揮できるようなキャリアパスが見えていなければならない。
女性の参画とキャリア向上を妨げているのは、能力の欠如ではなく、無意識の偏見や学術にかかわる組織の構造の問題である。

報告書を作成したのは、大学の学長等指導的位置にある人々、官僚や政策アナリストからなる「学術界の理系分野における女性の能力最大化協議会」「米国科学アカデミー」「全米技術アカデミー」「米国医学研究所」です(Maximizing the Potential of Women in Academic Science and Engineering, National Academy of Sciences, National Academy of Engineering, and Institute of Medicine)。
大きな影響力を持つ人々が学術界の組織的構造への批判を含めて女性研究者をめぐる問題を顕在化させようと協働する動きは、日本にはまだありません。アメリカ合衆国では性別や人種、民族などのマイノリティ・グループに対する積極的差別是正措置(Affirmative Action)が重要な政治的課題であり続けていることも、この流れを後押ししているのかもしれません。
報告書で示されているのは、「少ないなら増やせばよい」という単純なアプローチでは問題の本質を捉えたとは言えないこと、また国家や学術機構が責任をもって解決に動き出さなければならないという強い認識です。
日本の社会的・学術的状況と背景は異なるかもしれませんが、報告書から学ぶことは少なくありません。
このページでは、報告書のサマリーを紹介します*2

報告書は米国アカデミー出版局から注文することができます
http://www.nap.edu/catalog/11741.html

電子データは全米バイオテクノロジー情報センター(NICB)から入手できます
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK9813/

*1 内閣府男女共同参画局(2015年3月31日)
*2 以下では、報告書の一部について抜粋および日本の文脈に合わせた意訳を行っています

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FINDINGS

1.女性の能力と意欲

理系分野の指導的地位における女性の数が少ないことが問題となっており、この事態の根拠としてしばしば男女間の生物学的差異が挙げられている。しかし脳の構造と機能、ホルモン調節能力、人間の認知発達、人類の進化などに関する研究において、科学や数学を行う上での性別による有意な差異が発見されたことはない。
一方、女性の科学者や技術者の気力や意欲は、女性にとって不利な状況下にもかかわらず、学術の世界でキャリアを貫く女性たちの存在によって証明されている。
重要であるのは、女性は、理系分野において成功する十分な能力と意欲を有しているということである。

2.性別による進学・就職率

高校生から教授になるに至るまで、学術の世界で階段をひとつ上るごとに理系分野における女性の数は確実に減っていく。
例えば高校から大学に上がるさい、男性に比して多くの女性が、科学もしくは工学に関心を示しつつも他分野の専攻に進んでいる。同様に、大学院への進学のさい、男性に比して多くの女性が科学もしくは工学の学位を持ちつつも他の研究分野を選んでいる。結果として、博士課程からテニュアにアプライする人の数は、男性に比して女性が少なくなる。
女性を対象とした積極的な募集を行えば、性別による進学・就職率の差は改善される可能性がある。

3.不均衡な比率

30年以上遡ってみても、社会科学や行動科学の博士号取得者のうち女性は30%以上を占め、生命科学では20%以上を占めてきた。しかし上位の研究機関においては、社会科学や行動科学の研究職に占める女性の割合はたった15.4%であり、生命科学では14.8%のみである。さらに言えば、理系分野において博士号取得者の女性の割合が二桁に達しているのはこれらの分野のみである。
以上の状況を考えれば、少数人種や少数民族のマイノリティ集団に属する女性にいたっては、米国の一流の科学・工学部において実質的には「存在していない」も同然だと言えるだろう。

4.見えない障壁

多くの先行研究が、女性研究者の採用やキャリア・アップを制限する障壁があることを指摘している。
概して、女性や他のマイノリティ・グループに属する科学者や技術者は、当該分野を昔から主導してきた男性たちを(時には故意に、しかし多くの場合は意図せずして)優位に扱うような環境で働かなくてはならない。こうした状況下でアカデミック・キャリアを維持するためには、女性研究者は(すでに十分な能力を持ち、高い生産性を備えているにもかかわらず)、科学や数学における自身の能力を証明し続けなければならない。
さらに言えば、女性でありかつ少数民族や少数人種に属する人は、二重の差別というより厚い壁に直面することになるだろう。結果として、男性はチャンスを与えられ、関心や能力を高めることが奨励されるのに、女性は全キャリアを通してそのような支援を受けられない。しかもキャリアの段階が上がるほど、この不利な状況はより深刻となるのだ。
見えない障壁の影響は、分野によって異なるかたちであらわれる。例えば、物理や工学などの分野において、学士や博士における女性の割合が低い。しかし教授職における女性の採用数は、候補者の数に適合しているようにも見える。一方、化学や生物科学などの分野においては、学士や博士の女性の割合は他分野に比して高い。しかしながら教授職における女性の採用数は少なく、候補者の数に適合していない。

5.潜在的バイアス

認知心理学の研究によると、我々の多くは、無自覚ながら「人(属性)」と「仕事の評価」に強い関連性を持たせる偏見を抱いていることが明らかになっている。
人事選考過程を対象にした研究によると、同等の能力の男性と女性がいた場合、女性より男性が選ばれる傾向が高いことが示された*。同じように、同等に成果を出した男性と女性がいた場合、女性より男性を評価する傾向が高い。また両者の情報が少ない場合には、「疑わしきは罰せず」の原則を女性よりも男性に適用することが多い。
大抵の科学者や技術者は、自分は客観的であり公正に努めていると信じているが、多くの研究が示しているように、彼らも上記の傾向から免れてはいないのだ。

*ブラインド・オーディション アメリカのオーケストラで審査委員席と候補者の間にカーテンを垂らして審査したところ、女性の演奏家がより多く選ばれたという結果が報告されている。
Claudia Goldin and Cecilia Rouse, “Orchestrating Impartiality: The Impact of “Blind” Auditions on Female Musicians.” American Economic Review, 90(4): 715-741.(2000)

6.評価基準の恣意性・主観性

女性研究者が指導的地位に登用される機会は少ない。また、男性研究者に比して給与が低く、出世が遅く、権威を持たされていない。この待遇の差異は、生産性、仕事の重要性、あるいはその他の業績判定基準に基づいて生じているのではない。
というのも、学術の世界での昇進は上司の研究者による業績の評価に左右されており、この評価プロセスは客観的に行われると信じられているが、「能力主義」の基礎となる「成功」の指標は(大抵は意図せずとも)恣意的であり、偏った方法で適用されていることが多いためである。
例えば、科学的創造性のためには柔軟性・交渉能力・好奇心・意欲・献身的な姿勢といった資質よりも、自己主張能力や一心不乱の集中力こそが重要だと一部で信じられている。しかしながら一般的に、自己主張を行い、ものごとに集中するような特性は女性に期待されていない。それどころか、そのような女性は煙たがられてきたのである。

7.学術機構の構造的問題

当たり前と見なされている規則が、男性と女性の待遇の差異につながったり、異なる結果を生み出すように機能している可能性がある。
例えば、学術機構の構造的な制約により、研究職を務めるにあたっては、配偶者から大きな支援を受けられることが前提とされている。したがって、古くから「妻」が担ってきた家庭的支援が得られない人は、学術の世界では非常に不利な状況にある。しかしながら、研究者の大半はもはやそのような状況にない。女性研究者の配偶者の約90%は常勤であり、男性研究者の配偶者の半数近くもまた常勤で働いているのだ。

8.行動を起こす

女性を含むマイノリティが研究職に占める割合は増加している。また彼女/彼らが高等教育進学に占める割合も増えている。そのため、職場が均質的であった時代に適用された国家政策を改訂し、多様な労働力を効率的に活用する新しい組織的構造を作りだす必要がある。
効果的な取り組みの鍵となるのは、「是正措置に取り組む姿勢」、「組織改革のためのデータ分析とその活用」、「進捗状況を監査する学内体制」である。

結論

国家や学術機構が、性別、人種、民族の区別なく全ての人の教育的・職業的成功を後押しすることが重要である。
研究者が潜在的能力を最大限に発揮するためには、国家や学術機構が責任を持ち、女性と男性が平等に機会・資源・支援を受けられるという証拠を提示せねばならない。また政策や慣習は、古いモデルから、平等で偏見のない実績評価、支援や資源の平等な配分、賃金の平等、性別に拠らない休業・休暇の取得方針を提示する新しいモデルへと移行せねばならない。
そうでなければ、最高の科学・工学の訓練を受け、実践する能力を持つ優秀な多くの人々がその力を発揮する職に就くことはないだろう。このことは我々にとって重大な損失である。

 

「理系分野における女性に関する一般的な説」についての分析

この報告書では、「理系分野における女性に関する一般的な説」をリストにまとめ、その批判的検討を行っています。下記に一部をご紹介します。
各論点についての分析は報告書の各章において展開されていますので、ご関心のある方は文献にアクセスしてみてください。

一般的な説 批判的検討 詳述
女性は男性ほど数学に強くない。 現在、高等教育における女性の数学の成績は、男性の成績と同等である。 第2章
テニュア・上位職における女性の増加は時間の問題である。資格のある女性が増えればおのずと解決する。 博士号取得者における女性の割合が大きい分野においてさえも、テニュアへの就職、指導的地位への昇進の機会のたびに女性の数は減っている。この事態は、現在から30年遡ってみても変化がない。 第3章
女性は男性のように競争的ではない。女性は学問の世界で職を得たいと思っていない。 科学・工学の博士号を持つ人は、男性も女性も同じ割合が研究や学術の職に就くことを計画している。 第3章
女性と少数人種・民族に属する人々は、積極的差別是正措置プログラム(Affirmative Action)を通して、優遇されている。 積極的差別是正措置プログラム(Affirmative Action)は、女性やマイノリティ・グループが社会に参画する道を広げるための政策であり、性別や人種だけに基づいて候補者を選ぶことを意図したものではない。 第4章
学問の世界は実力主義である。 研究者は客観的な基準に基づいて「最良を選択できる」と信じているが、この選択の決定は当人の能力や評価対象の仕事とは全く関係のない要因に影響を受けている。例えば、人種、性別、大学の地理的条件、年齢などの先入観によって。 第4章
ルールを変えると、優秀の水準が下がる。 研究者の採用や昇進は、上司の研究者による業績の評価に左右される。しかしこのプロセスにおいて、「最良」の研究者が「最適」に選ばれているわけではない。暗黙の偏見があったり、男性が不平等に重視されているからである。
この偏見の根源をなくすことは、理系分野において優秀な人材を養うことにつながる。
第4章
女性研究者は男性研究者より論文生産性が低い。 理系分野における女性研究者の論文生産性は過去30年間で増加しており、男性と同等である。
論文生産性に影響する重大な要因は、組織が保有する資源を適切に利用できるかどうかであって、家庭生活や子ども・高齢者へのケアそれ自体が及ぼす影響は二次的なものである。
第4章
女性はキャリアよりも家庭生活に関心がある。 多くの女性研究者が、親としての役割と研究者としての役割の間で深刻な葛藤を抱きながらも、学術の世界でのキャリアを追求し続けている。しかしこの努力について、自らのキャリアを向上させようとする意思とは認識されていないことが多い。 第5章
女性は育児のために多くの休暇を必要とするので、特別な支援や新しい政策は無駄な投資である。 平均的に、女性はキャリアの初期において育児等のライフイベントのために男性より多くの休暇を取る。一方で、男性は中年期になるまでに女性よりも多くの病気休暇を取る傾向がある。 第5章
現在設けられている制度は偉大な科学を生むためにうまく働いており、変える必要はない。 性別や人種、民族に対する偏見によって彼女/彼らのキャリアが妨害されているとすれば、それは国家から才能や実績のある研究者を奪うものである。 第6章

 

RECOMMENDATIONS

以上の調査結果を踏まえた「提言」と、学術機関ごとに実践すべき具体的事項のリストを紹介します。

提言

国家の重要な務めは、性別による偏見をなくすために組織の構造や慣習を変えることである。このためには、強いリーダーシップが求められ、継続的に注意を払い、評価し、責任を持つ必要がある。 女性がキャリアを築くための障壁は多く、また複雑に組織全体に及んでいることから、簡単に解決することは難しい。しかし、昨今の大学や競争的研究資金配分機関(Funding Agencies)の取り組みのなかに、女性の積極的な採用や指導的地位への登用に効果をもつとされているプログラムがある。最良の研究者を見つけて育てるために、このプログラムをより広く活用し、またそれを評価しよう。結果を変え、平等を達成するために、学術にかかわる構造・動機・責任についての大規模かつ包括的な改革を実現する必要がある。

1.大学のすべきこと

A.総長、理事、教務局長は、女性の積極採用や積極昇任のために組織の文化や構造を変え、強いリーダーシップを発揮すること

  • 雇用、昇進、待遇における不平等に対して、即座に行動を起こす
  • 「雇用、昇進、待遇において女性に対する偏見をなくす」という目標を、大学の戦略的プランに取り入れる
    (学生の性別等の構成比や学部ランキング、年次目標に対する成果の公表、理事会への詳細な年次報告など、監査組織と協働することが望ましい)
  • 人事責任者に対するリーダーシップ・ワークショップを開く
    (多様性に関する知見、偏見や性的カテゴリー化を克服するための戦略、全ての人を公正に扱うことを奨励するプランをとりあげ、大学や学部の運営に組み込む)
  • 採用を認める前に、公正で幅広い積極的な調査の証拠を要求し、その調査プロセスや結果の平等に関する学部の責任を明確にする
  • 研究者のワークライフバランスを考慮にいれた雇用形態、昇進の方針を開発し、目に見えるかたちで実践する
    (例えば教員・職員・ポスドク・大学院生に対する有給育児休業の提供、職場や地元で育児を行うための施設や補助金の創設、家庭生活に配慮した会議計画など)

B.学部長やテニュアの教員は、生産性をあげる環境作りに責任を持ち、公募、雇用、昇進、テニュアを獲得するに至るまでの偏見の影響を最小限に抑えるプログラムを即座に実践すること

  • 大学をめぐる情勢について全教員による議論の機会を設ける
  • 潜在的バイアスや、効果的な評価基準について、全教員と学生を教育するプログラムを実施する
  • 教員採用の取り組みを拡大し、女性の候補者に適切かつ積極的にアクセスする
  • テニュアを得るためのプロセスやスケジュールを即座に見直す
    (採用・昇進にかかわる機会の設定は、ライフイベント等に対応する柔軟性を考慮に入れる必要がある。融通の利かないスケジュールに合わせて質を犠牲にしてはならない)

C.大学の指導者は、部局長や教員と協働し、活動の質や影響力を考慮した評価を行うこと

2.専門家機関のすべきこと

責任を持ち、平等な待遇を推奨することにおいて先導的な役割を担い、実践活動においてその姿勢を示すこと

A.高等教育機関(Higher Education Organization)*は、組織に対する監査機関の設置を検討すること

  • 監査機関は、学術機関と行政機関を仲介し、データの収集を行い、達成基準やそのための方法について提言し、法令遵守と説明責任について組織横断的に追及する
  • 教員の採用、継続就業、昇進のプロセスにおける性差別をなくすために、データ収集と分析、進捗状況の監視と評価を行う
    (データは性別・人種・民族ごとに部局レベルで収集されるべきである。またデータには、理系分野の学生の数、学士・修士で卒業する学生の数、卒業後の進路、初任給、大学院の入学数・減少数および修了者の数、博士課程後の進路、ポストドクターの数、教員の採用数、雇用数、テニュア、昇進、給与、組織資源の配分が含まれているべきである。)

*米国大学教員協会(AAUP)や米国教育協議会(ACE)等の組織など

B.科学協会と専門家協会(Scientific and Professional Societies)は下記を実行すること

  • 専門的で平等な基準を設定し、分野全般に渡って教育と就業に関するデータの収集および公表
  • 評価時におけるバイアスについて、専門的な訓練の機会を会員に提供する
  • 登壇者における女性の割合など、その会の多様性を反映していることを保証する指針を立て、実践する
  • 編集委員やその他の主要な指導的地位に妥当な数の女性がいることを保証する
  • 受賞歴や指導的地位にある女性の存在を示し、女性たちが国の科学・工学の発展に貢献していることを社会に知らしめよ
  • 会員が会議に参加できるよう、育児や介護に対する補助金や助成金を充実させる

C.学会は、女性の過小評価の問題に取り組むため、役員選挙のプロセスを見直すこと

D.学会誌は、査読申請からの全プロセスを調査すべきである。また氏名や所属等を伏せた審査など、性差別を最小限にするための対策をとるべきである。

3.競争的研究資金配分機関のすべきこと

競争的研究資金配分機関(Funding Agencies)*は、規則や規範的慣習が女性差別を補強するものではなく、女性の参画を支援するものであると保証すること

*日本においては、日本学術振興会などがこれにあたる

A.性差別に関するワークショップを開催する

  • 専門家機関と協働し、評価における性差別の影響を最小限にする方法について、人事審査委員、大学の学科長、機関の専門職員を教育するための全国大会を主催する
  • 微妙で捉えにくい偏見や差別に関するデータや研究の発表、学部の実態調査、対話型議論やロールモデルなどを組み込む
  • プログラムの有効性を継続的に評価する

B.助成金申請に関して、統計、分野、賞罰、予算申請、レビューのスコア、助成の結果等に関する情報を収集、蓄積、公表する

C.時間外の研究関連活動や、仕事に関係した会議に参加するために必要となる育児や介護費用に助成金を充てる

D.育児・介護休業の期間中、技術的または事務的な支援を提供するための追加融資をおこなう

E.偏見やステレオタイプの脅威に関する研究、指導者の役割に関する研究、性差別を減少するために作られたプログラムの有効性に関する研究への支援を拡大する

4.行政機関のすべきこと

連邦機関(Federal Agencies)は理系分野の人材を増やすために、明確な指針を立て、資源を活用し、現存する法律を厳密に施行すること

A.法令遵守の検証・差別抗告の調査を通じて、大学やその他の高等教育機関において反差別にかかわる法を施行するため即座に行動する。執行の取り組みの範囲が、差別にかかわる法で規制される全活動に及ぶことを保証する。法違反が判明した場合は、あらゆる救済策を追求する

B.意図的な差別、セクシュアル・ハラスメント、報復、不均衡な結果をもたらすような差別、必要な政策や手続きを維持できていないことなどを含む、法の下で禁じられたあらゆる種類の差別に対する大学の関与を監視する

C.法令遵守の検証をする対象は、幅広い分野の高等教育機関とする

D.大学における雇用の多様性を達成する方法について、テクニカル支援を行う
(教育機関が反差別法を遵守するためのテクニカル支援、政策の効果的普及のための情報センターの設置、模範となる大学プログラムに対して賞や認定を与えるなど)

5.国会のすべきこと

国会(Congress)は、様々な科学助成機関における活動を調査し、定期的な審問を開催し、差別にかかわる法の適切な執行に必要な措置を取ること

 

CALL TO ACTION

女性は国家の学術発展に貢献する能力があるにもかかわらず、性別や人種または民族に基づく偏見や、学術上の成功を左右する時代遅れの「規則」のせいでそれが妨害されている。この事実は大いに問題であり、恥ずべきことである。 これは行動喚起である。国家、学術機関、大学の指導者、研究者は、全ての人が理系分野においてもその能力を伸ばし、発揮することを歓迎し、これを奨励することを保証するために団結せねばならない。我々の将来はこれにかかっている。