介護と仕事の両立Q&A
Q.1 介護保険って元気でも申請できるのですか?
Q.2 現在、事故で親が入院中です。入院中に何か準備しておくことはありますか?
Q.3 親が85歳になります。何から始めたら良いですか?
Q.4 介護サービスを使うことを拒否されます。どうすれば良いですか?
Q.5 両親の介護で悩んでいます。父親が頑固で介護サービスを使ってくれません。
Q.6 介護保険でホームヘルプサービスを利用中です。庭の掃除は頼めないのですか?
Q.7 介護保険では通院の介助はできないと言われました。どうすれば良いですか?
Q.8 家族が一緒に住んでいます。家事援助はしてもらえないのですか?
Q.9 介護保険で、デイサービスを利用しています。ショートステイのサービスも利用できますか?
Q.10 デイサービスが好きで週2回行っています。回数を増やしたいのですが増やせますか?
Q.11 訪問介護より訪問看護の方が良いと言われました。何が違うのですか?
Q.12 認知症があり、現在は自宅で生活をしています。いつまで自宅での生活が可能ですか?
Q.13 施設入所を検討中です。どんな施設が良いでしょうか?
Q.14 サービス付き高齢者住宅への入居を検討中です。最期まで介護してもらえますか?
Q.15 有料老人ホームへの入所を検討しています。施設によって費用が違うのですが、何が違うのですか?
Q.16 年金で生活をしており、施設入所を検討中です。年金だけで入所できる施設はありますか?
介護への備えについて
Q.1 介護保険って元気でも申請できるのですか?
A.1 65歳以上であれば申請することができます。
介護保険を利用するには、「要介護認定」が必要です。この「要介護認定」を受けるためには、市役所などの窓口で申請が必要です。
この申請は、65歳以上であればだれでも申請することが可能です。65歳未満の方については、16の特定疾病に該当する場合のみ申請することができますのでご注意ください。
元気と思っていても、動きにくくなっていたり、家事の負担が大きくなっていたり、病気の関係等により、要介護(要支援)と認定される場合がありますので、『元気だから』ではなく「必要と思ったら」申請を行ってください。
申請から認定までは約1か月必要ですから、早めに準備しておいてください。
Q.2 現在、事故で親が入院中です。入院中に何か準備しておくことはありますか?
A.2 退院後の生活についての準備が必要です。
事故後、リハビリ等の状況によって、どのような状態で退院できるかが大事です。例えば、歩けるようになって退院する場合と歩けない状態での退院とは、準備するモノや環境が随分違います。
病院には、MSW(メディカルソーシャルワーカー)がおり、退院の調整や退院後の生活について相談を行う相談員がいます。このMSWと早めに連絡をとり、まず退院の状況(タイミングや状態)について確認してください。
その後、自宅へ帰ることができるのか、リハビリ専門の病院へ転院するのか、施設などへ入所するのか等の選択肢を検討することが必要です。
また、介護保険を利用した施設(介護老人保健施設、特別養護老人ホーム)などへ入所を検討する場合は、介護保険の認定が必要ですので、入院中に認定を受けておいてください。
Q.3 親が85歳になります。何から始めたら良いですか?
A.3 ご両親の希望を確認してください。
今までなかなか話しにくかったこともあると思いますが、今後、どのように暮らしたいのかを確認してください。
施設に入所するのか、自宅で暮らすのか…。また、最期をどう迎えたいか、自宅が良いのか、病院が良いのか…などを話し合ってください。そして、それを叶えるためには、何が必要かを考えてください。
また、費用負担もありますので、経済状況(年金や預貯金等)も確認しておくことが必要です。兄弟・姉妹がいる場合は、他の親族等の意思確認も行っておくと良いです。
それらを行うと同時に、介護保険利用に必要な要介護認定の申請を実施してください。85歳を過ぎると、いつ介護が必要になるか分かりませんから、早めにご準備ください。
Q.4 介護サービスを使うことを拒否されます。どうすれば良いですか?
A.4 何故、拒否するのか理由を確認してください。
多くの方は、「まだまだ自分でできる」「人に頼りたくない」「自分の家に他人が入るのが嫌」等の思いがあります。拒否される理由によって、介護サービスの種類を変えたり導入の方法を変えることが可能です。
このようなことも想定した上で、早めに介護についての話や要介護認定を受けたり、介護を受ける準備を始める必要があります。そして風邪などで体調を崩されたりした際には、ヘルパーの導入などをお勧めいただき、なるべくご本人も納得できる状態で導入するようにしてください。
また、あまり家の中に入らなくても受けられる買い物代行やリハビリ特化型のデイサービス(短時間、リハビリだけを行うデイサービス)等の利用から始められるのも良いと思います。
十分に話し合いながら無理のないように行ってください。
Q.5 両親の介護で悩んでいます。父親が頑固で介護サービスを使ってくれません。
A.5 Q4と同様です。
できれば、このような状態になる前に上記Q4の対応をお願いしたいですが、こうなってしまったら仕方がありません。頑固になっておられる理由が何かを考えてください。たとえば、費用の問題なのか、信頼ができないと思うのか、また迷惑をかけたくないと思っているのか、その理由によって対応は変わってきます。
例えば、介護サービスでなくても、食事の宅配サービスやクリーニングサービス、ボランティアにより見回り(ゴミ出し)サービスなど、利用できるものを利用し、現状を継続することが必要です。
そして、もしもの場合に備え、病院や施設等は予めご家族などで見学され、いよいよ必要となった時に手続きができる状態にしておくことで慌てることなく対応することができます。
在宅介護について
Q.6 介護保険でホームヘルプサービスを利用中です。庭の掃除は頼めないのですか?
A.6 訪問介護サービスでは庭の掃除は対象外です。
介護保険でできる介護サービスは、自宅内の家事サービスになります。
介護保険制度の中で庭の掃除(草むしりや水やり、枝の剪定等)をホームヘルパーが行うことは難しいです。
庭の掃除などの場合は、シルバー人材センターなどの利用やボランティアの利用などが可能です。
訪問介護サービスでは、ペットなどの世話や本人以外の部屋の掃除や調理などもできません。
訪問介護を利用する際は、内容についても確認をしてください。
Q.7 介護保険では通院の介助はできないと言われました。どうすれば良いですか?
A.7 訪問介護で可能なのは通院の往復のみです。
介護保険でできる介護サービスは、自宅内のサービスが主になります。
通院サービスになると行き帰り(往復)の送迎は介護保険で可能ですが、院内のケアは病院の看護師や職員が行うことになります。院内の介助に介護保険でホームヘルパーが同行することは出来ません。
しかし、トイレや医師の説明など、ご本人1人では無理な場合もありますので、その際は病院内のケアのみ自費(100%自己負担)でヘルパー等にお願いすることも可能です。
訪問介護事業所や自費のみのサービスを行っている事業者もありますので、ご希望の場合は、介護支援専門員(ケアマネージャー)などご相談することをお勧めします。
Q.8 家族が一緒に住んでいます。家事援助はしてもらえないのですか?
A.8 家族が同居されているとできないことが多いです。
一般的に家族が同居の場合は、家事支援を受けることができないと説明を受けることが多いようです。家族が家事を行うことができるので家事サービスは不要であるという考え方です。
しかし、家族が同居していても家族が仕事をしていて日中(昼間)は一人になる等の状況の場合は、家族が同居していても生活(家事)支援を受けることが可能となる場合があります。
家族が同居している場合、その家族が家事を行えない状況にあることを説明してください。
家族ができない家事のみを介護サービスで行うなどが可能となります。
Q.9 介護保険で、デイサービスを利用しています。ショートステイのサービスも利用できますか?
A.9 ショートステイサービスも利用可能です。
要介護(要支援)認定を受けている状態であると思われますので、ショートステイの利用も可能です。
ショートステイは、1泊2日~1週間、10日間等、短期間の施設入所を行うことが出来る場所で、家族の負担軽減などで利用されることが多いです。
利用する場合は、利用したい施設の空室状況を確認し、介護支援専門員(ケアマネージャー)に相談してください。サービス利用にはケアプランへの記載が必要となります。
要介護度によって、月間で使用できる介護保険の支給限度基準額という上限がありますので、ご注意ください。
Q.10 デイサービスが好きで週2回行っています。回数を増やしたいのですが増やせますか?
A.10 利用回数を増やすことは可能です。
介護保険の利用には、要介護度によって支給限度額という月額の上限が決まっています。
この限度額以内であれば介護保険を利用した1割(もしくは、2・3割)負担で利用することができます。
また、100%自己負担をしても良いのであれば、利用限度額を超えて利用することもできます。回数を増やしたい場合は、現在利用しているデイサービスや介護支援専門員(ケアマネージャー)にご相談ください。
Q.11 訪問介護より訪問看護の方が良いと言われました。何が違うのですか?
A.11 看護師ができる行為と介護士ができる行為が違います。
訪問看護は看護師が訪問します。訪問介護はホームヘルパー(介護士)が訪問します。一番大きな違いは、看護師は医療行為ができますが、介護士は医療行為ができません。医療行為が必要でない場合は、訪問介護で対応ができます。
また、医療行為とは、薬の管理や血圧の管理、胃ろうや痰の吸引等があります。また、病気によって入浴する際に血圧の変動が大きく注意が必要であるなどの場合は、訪問看護の方が安心できると思います。そのような特殊な状況でない場合は訪問介護で可能です。主治医などにもご相談ください。
訪問介護より訪問看護が良いというよりも、必要なサービス内容によってどのサービスを利用するかご検討ください。
Q.12 認知症があり、現在は自宅で生活をしています。いつまで自宅での生活が可能ですか?
A.12 環境が整えば最期まで自宅での生活が可能です。
認知症の症状(程度)によって、変わってきますが、最期まで自宅で生活される方もおられます。自宅で生活できる環境を整えることが必要です。
認知症は、生活のあらゆる場面でケアが必要になってきます。家事だけでなく金銭管理や近所付き合いなども困難になってくる場合があります。
金銭管理などが不十分になってくると後見人や日常生活自立支援事業などのサポートを受けることや、近所付き合いという場面では民生委員や地域のボランティアなどのサポートが必要となる場合があります。
この他、徘徊などで自宅に帰られなくなることがあり、近所の方の支援などが必要になります。このような体制を作っていくことが必要です。
施設入所について
Q.13 施設入所を検討中です。どんな施設が良いでしょうか?
A.13 施設には、多くの種類があります。
施設には、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅などがあります。
これらは、全て入所するための要件が違います。例えば、寝たきりになってしまって24時間介護が必要だという場合には、特別養護老人ホームが適切ですし、リハビリが必要であれば介護老人保健施設が適切になります。どんな状態かによって、選ぶ施設は違います。
また、同じ特別養護老人ホームでは、施設によって、様々な違いがあります。入浴にこだわりがある施設もあれば、レクリエーションに力を入れている施設もあります。同じ特別養護老人ホームでも違いがありますので、必ず見学に行って、可能であれば体験入所などを行うことをお勧めします。
介護職の対応や施設長の方針なども確認して、検討するようにしてください。
Q.14 サービス付き高齢者住宅への入居を検討中です。最期まで介護してもらえますか?
A.14 24時間介護が必要になると対応が難しい場合があります。
サービス付き高齢者住宅は、高齢者専用マンションに住み、ホームヘルパーが決まった時間に介護に来るという形態です。24時間常時介護をする形態ではありません。要介護度が重度になり寝たきりになってくると、この訪問介護だけでは対応が難しくなります。
施設によっては最期までお世話しますという施設もありますが、介護保険のサービスだけでは困難になり、介護保険外の費用負担を強いられる場合がありますので、注意が必要です。また、医療的なケアが必要になると、最終的には転居しないといけない場合がありますので、最期までというよりは、ここで生活できる間は…と思われる方が良いです。
最期まで介護をという施設は、特別養護老人ホームもしくは、介護療養型医療施設(介護医療院)、一部有料老人ホーム等をご検討ください。
Q.15 有料老人ホームへの入所を検討しています。施設によって費用が違うのですが、何が違うのですか?
A.15 部屋の広さや共有部分の有無によって費用が違います。
費用の差の多くは、環境面(広さや調度品など)になります。また介護サービスだけで見ると特別養護老人ホームともあまり差はありません。
その他、介護職の人数が特別養護老人ホームに比べ、多く配置されている場合があります。比較的安価な有料老人ホームは、特別養護老人ホームとほとんど変わりません。
一番大きな問題は、ご入居されている方々の生活様式の違いです。高額な有料老人ホームに入居されている方は、会社経営者など裕福な方が目立ちます。ですので、人間関係もそれに応じたものになります。ちょっと無理して高額な施設に入居したけれど、入居されている方同士で会話が合わないなど人間関係にストレスを感じる方もありますので、施設を選ばれる際は、そのようなところにもご注意ください。
Q.16 年金で生活をしており、施設入所を検討中です。年金だけで入所できる施設はありますか?
A.16 国民年金の基礎年金だけでは厳しいといえます。
年金額によって違ってきますが、特別養護老人ホームでも毎月十数万円の費用が必要ですので、国民年金だけで入所(入居)するのは厳しいと思われます。また、有料老人ホームについても、費用の差が大きいので、確認が必要です。
また、入居費用には家賃に相当する部分と食費などに相当する費用、それに介護費用が含まれます。介護費用は要介護度によっては違ってきます。各施設に問い合わせて必要な費用をご確認ください。
また、有料老人ホームなどの場合は、入居一時金や一時金無しで月額で負担する場合など料金の支払い方もそれぞれ違いますので、しっかりと内容をご確認ください。
また、ご家族や親族で負担が可能かどうかも検討していただき、無理のない状況での入居をご検討ください。