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【お知らせ】医学研究科、大谷直子教授が「教員活動表彰」を受賞しました!

 本学医学研究科、大谷直子教授が「教員活動表彰」を受賞されました。「教員活動表彰」は、教育・研究・社会貢献・その他大学運営に資する活動の4分野で顕著な業績を有する専任教員を表彰する取組で、昨年度から実施されています。今年度、大谷先生は「研究」分野で表彰されました。

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【左:複合先端研究機構 天尾豊先生 中央:大谷直子先生 右:理学研究科 坪井泰之先生】

【研究紹介】「腸内細菌代謝物が関与する肥満によるがん促進メカニズム」

 近年、肥満人口は世界中で増加の一途をたどっており、肥満は糖尿病や心筋梗塞のリスクを高めるだけでなく、様々ながんの発症率を高めることが明らかになっています。大谷先生の研究室では、がん細胞周囲に存在しがん細胞を育てやすくするがん微小環境と呼ばれる細胞群や生体内物質の変化に着目して研究しています。最近の研究成果として、肥満により腸内細菌の構成が大きく変わり、肥満で増えた腸内細菌が産生する物質、デオキシコール酸が肝臓に到達して、組織微小環境を構成する線維芽細胞で細胞老化にともなうSASP(senescence-associated secretory phenotype)という現象が生じ、発がん促進的ながん微小環境に変化する現象を見出しました(Yoshimoto et al. Nature 2013)。この現象は一部のヒトのNASH肝がんでも見られることが明らかになり、臨床研究も行っています。本研究室ではこのマウスモデルを基軸に、肥満誘導性肝がんのさらなる分子メカニズムの解明に迫っていきます。最近増加している肥満にともなう肝臓がんや、加齢にともなう高齢がんを主な疾患モデルとして、遺伝子改変マウスを用いた個体レベルの実験ならびに分子細胞生物学的アプローチを用いて、効果的な発がん予防法の開発を目指しています。

 これらの研究成果は国内外で高く評価され、大谷先生は2017年から設けられた日本癌学会「女性科学者賞」の栄えある第一回の受賞者として選ばれました。

日本癌学会「女性科学者賞」の受賞についてはこちらをご覧ください。