平成30年2月19日(月) 大阪市立大学杉本キャンパス 工学部G棟2階 G201教室において、ウィスコンシン大学マディソン校よりエイミー・ウェント教授(電気・コンピューター工学科)を招き、『工学』女子学生のためのエンカレッジ教室を開催しました。
 この会は、理系の中でも特に工学を専攻し、更に将来研究者の道に進む女性が少ない現状を受けて、工学という学問の面白さを伝え、将来の職業選択につなげていけるよう女子学生をエンカレッジ(勇気付け)するものです。
 当日は、女性だけでなく男性の参加も多く、また学部生、院生、教員に加えて、現役高校生など約30名の参加があり、幅広い層の関心の深さがうかがえました。

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エイミー・ウェント教授の講演の様子

 ウェント先生は、工学科教授を務める傍ら、工学科女性科学・技術リーダーシップ機構(WISELI)のディレクターとして、学内外の男女共同参画(ジェンダー平等)、ダイバーシティの推進のために活躍しておられます。

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エイミー・ウェント教授

 第1部は、ウェント先生の講演で、はじめに先生自身についての話がありました。
 高校時代、ロールモデルはエンジニアを職業とするお父さんであったとのこと、また、二人のお子さん(現在高校生)は、近い将来大学の工学部に進むであろう、と嬉しそうに話され、母親としての顔を覗かせておられました。先生が専門とするプラズマについては、コンピューターチップやNASAの宇宙船等、多くの分野で応用されていることが紹介され、当面の目標は、プラズマの発する色によって、その内部で何が起こっているかを診断するツールをつくることである、と熱心に話されました。
その後、「理工系女子が抱える課題」へ話題が移り、女性ゆえに経験せねばならない困難の実態と、それをいかに乗り越えていくべきか、が語られました。まず、女性に多く見られるインポスターシンドローム(詐欺師症候群:自分の能力や実績を認められない傾向のこと)が紹介されました。また、学問的な能力があるにもかかわらず「自分はダメだ」と思い込み、専門分野の研究を諦める傾向が男性より女性に強くみられる、との実態も明らかにされましたが、現実は、数学テストの成績の男女間比較調査が示すように、生得的能力に男女の差はないことが強調されました。 固定観念の危険性にも話が及び、思い込み・偏見(バイアス)は人の行動や成績にすぐに影響を与える、との調査結果が紹介されました。
 また、先生が学生時代を過ごした理工系学部では、先生が入学する2,3年前まで女子学生を受け入れていなかったと話され、工学を学ぶ女性は、数の少なさ故に孤立しがちだという現実が示されました。
 この様な厳しい現実への対処法として、まず「男女は等しい能力をもつ」にもかかわらず「女性に対するバイアス(偏見)が存在し」「女性は、能力があるにもかかわらず自分を過小評価しがちである」との現実をしっかり認識したうえで、メンター制度等のサポートを受ける可能性を追求し、孤立することなく他の生徒とのネットワークを作っていくことが必要、とのアドバイスがありました。また、自分の能力を知ったうえで諦めることなく機会を追求すべきであり、そのために自分が将来なりたい姿を示してくれるロールモデルを見つけることが大切、とも話されました。 
 最後に、「大学生の皆さんには、授業だけではなく多くの人に会い多くの経験を積んで欲しい」との言葉で、第1部の講演は締めくくられました。

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 第2部ディスカッションでは、現役の女子大学生、大学院生だけでなく、高校生からも熱心な質問がありました。
「先生自身の経験からのアドバイスは」との問いには、ともかくグループを作り、他の人とコミュニケーションを取っていくことが大切で、そのようなグループがなければ作りましょう!」との力強い答えがありました。「今の仕事に就いてよかったことは」との質問に対しては、「高校時代に工学と日本語への興味の間で進路選択を迷ったが、工学の道を選んだことによって、大好きな日本語や日本文化とも接点を持ち続けることができたことだ」と答えられました。
 また、「工学を志す女性を増やすには、親へのアプローチが必要ではないか」との問いには、「その通り。現状は、親だけでなく教師でさえ、女子学生の工学に対する興味を削ぎ、やる気をくじいている。親も子供と一緒になって、工学の楽しさを知る活動に参加することが必要」と話されました。
4月から中学校で理科の教師として働く女子学生に対しては、「ともかく生徒をエンカレッジし、工学は社会に役立ち人々の暮らしを豊かにすることを伝えていって欲しい」とのアドバイスがありました。
 最後に、司会の鍋島美奈子工学研究科准教授の「理工系学生の職業選択には、多くの可能性がある」との力強い言葉で、会は盛況のうちに幕を閉じました。

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ディスカッションでの和やかな様子

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