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【レポート】女性研究者のための「相談窓口」開設セミナーを開催しました(平成27年7月13日)

女性研究者のための「相談窓口」開設セミナーを開催しました(平成27年7月13日)

女性研究者が抱える悩みとその相談
― 大学で起こりうるハラスメントとは ―

◆プログラム
  日時:7月13日(月)10:30~16:00(二部制)
     第一部(講演編)10:30~12:00  女性研究者が抱える悩みとその相談
     第二部(実習編)13:00~16:00  相談員研修―事例を通して学ぶ相談の実際―
  場所:大阪市立大学 学術情報総合センター10階 大会議室(LSS)

 ◆講師 周藤 由美子さん フェミニストカウンセラー(ウィメンズカウンセリング京都)
              京都外国語大学他、ハラスメント専門相談員

 ◆参加者 45名(一部・二部延べ数)

開催案内はこちらをご覧ください。

第一部(講演編)のレポートです。

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◆開会のあいさつ

本支援室の運営委員長である宮野道雄副学長から、本学の女性研究者研究支援の理念が述べられ、女性研究者のためのみならず教職員全体の支援として取り組んでいく旨、お話がありました。     
次に、鍋島美奈子室長より、女性研究者のための相談窓口の開設趣旨について、「狭い世界に閉じこもってしまいがちな研究者の情報共有の場、そして女性研究者が抱える問題が深刻な状態になる手前の受け皿となれるように」とお話がありました。

副理事・室長

写真:副学長の挨拶、室長の挨拶

 

◆周藤 由美子さんの講演

本セミナーでは、フェミニストカウンセラーの周藤由美子講師をお迎えして、「女性研究者が抱える悩みとその相談――大学で起こりうるハラスメントとは」というテーマで講演をしていただきました。
女性研究者の問題がとりあげられるとき、なぜ女性の問題だけ考えなければならないかと違和感を持たれることがあると述べられました。女性研究者「が」問題でしょうか。あるいは、本当に女性研究者「の」問題なのでしょうか。

周藤先生

写真:周藤講師 講演の様子

「フェミニストカウンセリング」とは、「女性のためのカウンセリング」を意味するものであり、以下の3つの視点の重要性が示されました。
1) 「パーソナル イズ ポリティカル(個人的なことは政治的であること)」
2) 「シスターフッド(「支援してあげる」のではなく対等な関係性を保つこと)」
3) 「エンパワーメント(被害者の「回復する力」を信じること)」

次に、ハラスメント対応の歴史を概観するために、社会的に衝撃を与えた事例が紹介されました。まず、1989年の「福岡セクシャルハラスメント裁判」が、国内初の職場でのハラスメントとして提起された裁判でした。その後、1990年代にキャンパスでのセクシャルハラスメント裁判が起きたことによって、職場だけではなく「大学でのハラスメント」も社会的な問題として認識され始めたことが説明されました。ハラスメントとは、「被害者」と「加害者」との当事者間で解決できる問題ではないため、周囲が適切に対応する必要性があること、また、ハラスメントの初期段階で早めに対応することが重要です。ハラスメント被害を相談したり訴えたりすることの難しさも指摘され、解決しようとして相談した相手から傷つけられるなどの二次被害に遭う危険性も説明されました。二次被害は、一次被害以上の心の傷になることがあるそうで、一次被害を相談することによって起こり得る深刻な問題について認識を深めることができました。
もしハラスメントの被害に遭った場合、周藤講師は自分を責めないこと」「メモなどで記録に残すこと」「信頼、理解できる人に相談すること」そして「自分の優先順位を考えてどうするかを決める」ことが必要であると仰います。
また、被害者から相談を受ける立場になったときは、「相手の話をよく受け止めて尊重すること」が重要であると言われました。相談される側の役目は、被害者と加害者の事実関係を見極めて中立的な立場で判断を下す、という裁判官のようなものではなく、あくまでも被害者側の言うことに真摯に耳を傾けて、解決するための方法を被害者と一緒に探す姿勢にあります。一方、加害者側は、ハラスメントの自覚がなく、何がハラスメントであるかさえも分かっていないことが多いことから、加害者を指導する場合は、「何に対してどうするか」ということを具体的に示すことが必要とされるそうです。

会場の様子

写真:会場の様子

 

◆質疑応答(一部抜粋)

質問者①プライバシー上口外できない内容の相談についてどのように記録に残されているのか、その点で工夫しておられることについて。
周藤講師:相談窓口を設けている場合、相談記録をプライバシーを守って保管できる「管理システム」があるはず。個別の対応で、別々に記録を保管していると問題は生じやすい。保管場所のセキュリティに配慮した方が良いし、相談員間のケース共有のために仮名表記の簡易記録をつくることもいいのではないか。

問者②:「加害者には自覚がない」ということを聞いて、自分自身も知らず知らずのうちに加害者になる可能性もあるということを認識した。加害者、被害者のいずれにもならないために、具体的にできることとは?
周藤講師:まず、自分の持っているパワーを認識すること。「いや」と言える練習はよくあるが、それに加えて「いや」と言われる練習をすること。「口に出して言ってくれて良かった」という関係性を築くことが重要である。

 

講演を通して、ハラスメントには周囲の理解と対応が何よりも重要であり、当事者同士での解決をはかろうとしないこと、また被害者の回復を阻む「孤立無援感」を払いハラスメントを個人の問題としてではなく女性の問題であることを理解したうえで、安心できる場で経験を共有する機会を持つことが大切であると示されました。

(女性研究者支援室CD・木本)

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▼アンケートより▼
・非常にわかりやすく説明をされていたと思う。女性に対する話し方についてもよく考える必要があるとあらためて感じた。
・コミュニケーションが一方通行にならないように気をつけて(相手の気持ちにも)対応しようと思った。
・加害者が自覚のない場合が多いという話が印象的だった。被害者はもちろん、加害者とされる人への配慮も大事だと感じた。
・ハラスメントについて何となく分かっていたつもりだったが、具体的な事例で紹介があったので、自分の内で整理ができたと思う。
・女性支援やハラスメントの疑問(これくらいのことでハラスメントと言って良いのかな?)について腑に落ちることが多くあった。
・セミナーでは、実際に大学で起こったハラスメントの事例が取り上げられたので、考えさせられたような気がした。事例に関する詳しい説明があった。おかげさまで理解を深めることができた。
・新たな視点(特に加害者側の視点)について考えるきっかけになって良かった。
・相談する、またされる側の立場の捉え方が勉強になった。
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主催/問い合わせ
大阪市立大学 女性研究者支援室
〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138
tel:06-6605-3661
mail:ocu-support-f[at]ado.osaka-cu.ac.jp (※メール送信時は[at]を@に変更して下さい)

 

 

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