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【レポート】ロールモデル☆セミナー PART1を開催しました(平成27年6月24日)

ロールモデル☆セミナーPART1を開催しました(6月24日)

研究者のパートナーが目指す育児とキャリアの追及
-遠距離結婚生活と男性育児の経験から-

 

◆プログラム
  日時:6月24日(水)16:30~18:00
  場所:大阪市立大学 学術情報総合センター1階 文化交流室

◆講師
  川村 匡さん     (文部科学省職員、京都工芸繊維大学総務企画課長)
  古山 陽一さん    (大阪市立大学医学部附属病院看護師、「パパの育児休業支援センター」代表)

   育児休業を取得した男性2名をお招きし、自らの経験をお話していただき、女性研究者がキャリアと
     育児とを両立する上で、パートナーとの協力をどう考えればいいかについてのヒントを提供して頂きました。

◆司会
  奥野 久美子先生  (大阪市立大学文学研究科准教授、大阪市立大学女性研究者支援室運営委員)

◆参加者
  約30名

開催案内はこちらをご覧下さい。

 以下は、澤田 彩 (経営学研究科 後期博士課程) さんによる寄稿です。
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◆川村 匡さん 講演

DSCF5128川村さん

写真:川村さんの講演の様子

川村さんには、パートナーである女性研究者の奥様との出会いから結婚、妊娠、出産、育児まで、写真や当時抱いた様々な感情も織り交ぜつつ語って頂きました。
川村さんは、特別育児や家事に対して初めから積極的であったわけではないと言います。しかし、奥様が、研究者としての仕事をつづけながら妊娠、出産、育児を行うためには、自身が育休をとるという選択肢を自然ととることが出来たそうです。川村さんは、奥様が妊娠する前に職場に対して「子供が出来たら育休を取得したい」という希望を伝えておいたことが功を奏し、妊娠発覚後、スムーズに事が運んだそうです。
実際に主夫生活が始まると、初めは平日に普段着で子供を抱っこひもに入れて散歩している自分に対して「自分は何をやっているんだ。これで良いのか。」という気持ちがわいたりしたそうです。また、同じ空間に仕事中の妻といて、子供がぐずった時に自分が家事の手を止めて子供の面倒を見に行かなければいけないという状況が素直に受け入れられず、子どもの第一義的な責任負うことに行き詰まりを感じたこともあったとのことです。トーク・セッションで話されましたが、育児・家事を夫婦2人の課題として捉え、一方が担ってくれたらそれに対する感謝の気持ちを伝えることは大事だそうです。DSCF5114川村さん
しかし、自身が育休を取得することで、仕事では味わえない子育ての喜びを感じることが出来たことは、何物にも代えがたい素晴らしい経験となったそうです。また共働きを続けていくことで、経済的安定を得ることが出来、仕事に対するチャレンジ精神も醸成されたそうです。「夫婦合計のキャリアを考える」という言葉がたいへん印象的でした。

 

 

◆古山 陽一さん 講演

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写真:古山さんの講演の様子

古山さんは、結婚後看護学校に社会人入学し、看護師になられました。看護学の勉強を通じて、妊娠・出産が女性の体に与える影響と、パートナーのサポートの重要性を学び、第一子誕生時に育休を取得したそうです。しかし、自身の育休取得の際に男性が育休を取得しようとする際の様々な障害の存在に気づき、復職後にパパの育児休業支援センターを立ち上げました。
男性の育休取得者が増えない要因として、男性自身の意識の問題が良く取り上げられます。しかし、古山さんは、センターに寄せられる相談事例を通じて、育休を取得するなど育児に積極的に関与しようとする意識を持った男性に対するハラスメントを問題視されています。男性の育児参画に係るハラスメントが存在する実態を放置したまま、男性に対して育児参画を促す一方的なエンパワメントは、かえって男性自身をしんどくさせる結果を招くと主張されました。
問題の解決のためには、使用者(employer)のアカウンタビリティを高めるための援助(事例集、行動規範集、ワークショップ型研修プログラムの作成・開発など)が必要だと話されました。

 

◆トーク・セッション(抜粋してお伝えします)

フロア:育休がフォーカスされがちだが、必ずしも育休が取れなくても配偶者の育児サポートはできることは有るのではないか。その点について何かあればお願いします。

 川村さん:私は妻と遠距離結婚でしたので、育休という選択しかなかったのですが、決して育休原理主義ではありませ ん。未就学児の時にどれだけ子どもとたくさん触れ合えるかは重要だと思います。夕飯を家族で毎日食べるために仕事を効率よく片づけたり、休日に妻に一人になる時間を作るために子どもと出かけたりするなど、毎日の積み重ねを大事にしています。

 古山さん:妻が育児・家事を主体的に担っている場合、それを当たり前だと思わないことが大切です。結果として育休が 取れなくても、育児は夫婦二人の課題であることを認識し、妻の育児負担を気にかけ、育児に主体的に関わろうとする姿勢をとるだけでも夫婦関係は全く異なるものになると思う。

写真:奥野先生・川村さん・古山さんによるトークセッション

写真:奥野先生・川村さん・古山さんによるセッションの様子

フロア:育児参加をする男性は家庭環境や教育の影響がありますか。

川村さん:共働き家庭で育ちましたが、家事は祖母や母が料理や洗濯など多くの家事を担っていました。なぜ自分がこのような人間になったのかについて、家庭環境や教育的要因は直接的に因果関係が感じられないです。

古山さん:看護教育を通じて、妊娠・出産が女性の体に与える影響を学び、育休取得につながりました。看護の世界では、「性別にとらわれず、その人がその人らしく生きるのを支えるのが看護である」と教わります。その上で、妊娠・出産は女性の心身共に大きな影響を与えるものであるため、パートナーの強力なサポートが必要不可欠であり、このサポートを引き出すために環境調整するのが看護師の役割であると学びました。その結果、私は自然と「パパの育児休業は特別なことじゃない」と思えるようになりました。

 奥野先生:今後、男性の育休取得を増やすために必要なものは何だと思いますか。

 川村さん:組織の中で考えると、政府が男性育休に関する目標を掲げていることは大きかったです。組織のトップがまず、その組織における目標をトップダウンで決めることも大事だと思います。その目標達成のために周囲が細かなサポートをするのがいいのではないでしょうか。

古山さん:当事者へのエンパワメントも重要だが、使用者のアカウンタビリティを高めることの方が重要課題であると考えています。私は企業の両立支援担当者と話をする機会がありますが、担当部署の人々はまじめに一生懸命両立支援を進めていこうとされているのですが、それが組織全体になかなか浸透しないという事例がよくあります。この課題を突破するためには、当事者以外の組織の意識改革が重要です。

◆まとめ

育児休業をとった男性と聞くと、ご自身たちが自らおっしゃっていたように、一般社会では“珍獣”(!?)と捉えられ、まだまだ一般的ではありません。しかし、実際に育休を取得されたお二人のご講演とトーク・セッションを通じて、お二方の育休取得の背後にあるものは「育児は夫婦二人の課題」「妊娠・出産という心身ともに大きな負担を強いられる妻に対する、パートナーとしての当然の配慮とサポート」というごく当たり前の夫としての意識が見えてきました。これらの意識がたまたまこのお二人にとっては育休取得という形となって表れただけで、その他にも手段はいくらでもあるという点は多くの男性を励ますことと思います。
一方、古山さんが繰り返し強調されていたように、このような意識を当事者の男性が発現したとき(例えば、上司に育休取得の意思を伝えたときなど)に現実に起こっているハラスメントに対しては早急に対策を打たなければならないと感じました。

  IMG_1702 IMG_1710加工

 

 

 

 

 

 

写真:男性参加者も多く、セミナー終了後も積極的に意見の交換が行われました。
        

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◆アンケートより

・川村さんの、「夫婦二人でのキャリアを考える」。今までにない考えでした。

・普段は女性の口からしか聞いたことがない「労いの言葉は大切」「努力を認めて」等は、女性の一方的なわがまま
  な要求ではなく、男女ともに育児に携われば芽生える感情だということが知れたのは新鮮。

・川村さんのお話は、プライベートな部分も含めて具体的で面白く、男性女性の立場について考えさせられました。
  古山さんはまた違う視点で育休について取り組まれており、興味深かったです。

・今の時代では家庭のことを考えながら仕事もちゃんと考慮にいれる男性は本当に珍獣だと思います。
  覚悟のある男性に出会えたらいいなと思いました。

・働き方を変えるということは、考え方を変えるということだと感じた。有期職だと育休取得は一層難しく、
  悩んでいる。

・理解ある配偶者は一般的に少ないと思うが、本日お話された二人のような方が、日本で今後増えれば素敵だと思う。

・男性が働くことが当たり前だという考えを持っていたので、将来の生活で違った働き方をする選択肢を知ることが
  できた。

・制度についての情報がもっとほしかった。
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◆主催/問い合わせ
大阪市立大学 女性研究者支援室
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