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【レポート】「第2回ランチョンセミナー」を開催しました(平成26年9月25日)

「第2回ランチョンセミナー」を開催しました(平成26年9月25日)

 

最近、ライフイベントを抱える研究者の研究継続や科研費中断が国を挙げて取り組むべき大きな課題として注目されています。

2014年9月13日に公益社団法人日本植物学会・男女共同参画委員会主催で、「Living and working together:若手研究者が直面する壁とその打開策」というテーマでランチョンセミナーが開催され、若手研究者が直面するであろうパートナーとの別居問題や育休中の研究費問題など、日本における現状や支援策の必要性について議論が交わされました。

このような現状を鑑み、本学複合先端研究機構の藤井律子准教授をお招きして、ライフイベントと研究の両立や休業時の科研費中断の乗り越え方についてお話をお伺いしました。

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【女性研究者支援室学生スタッフ澤田彩(経営学研究科後期博士課程2回生)からの寄稿】

先生は、大学教員としてご自身の研究と学生の教育に携わりながら「科研費」や「JSTさきがけ」といった複数の研究プロジェクトの責任者もお勤めになっています。また、一児の母として子育てもされており、支援員制度を利用していただいています。また、現在2人目のお子様の出産を控えておられ、産休・育休の取得を予定されています。

◆研究支援員制度について

先生は、研究と育児の両立において、研究支援員制度が大変役に立っているとお話しくださいました。実験補助やデータ整理、資料作成等で支援員のサポートを受けることで、ご自身の研究時間の確保に役立っているそうです。また、支援員である学生は教員の仕事内容を深く理解することができるため、サポートを受ける教員だけでなく、サポートをする支援員の学生にとってもメリットが大きい事業であると考えておられます。

産休・育休時の物品購入にも支援を

また、科研費が中断してしまう産休・育休時にも研究に関する費用支出が必要である現状をお話しくださり、ご自身がライフイベントで休業中に発生した研究に関する物品費用を支援するような制度があると大変助かるというご提案をいただきました(今回の産休・育休時には、今年度に取得した学内研究費の執行ができるように柔軟に事務手続きを整えて頂いたそうです)。

研究者という職業性とライフイベント

研究者という職業は、通常業務がとてもハードで専門性が高く、常に研究者間の激しい競争にさらされています。その上、自身が担当している学生を限られた期間内で教育しなければなりません。これらの点で、会社員などほかの職業と研究者とは明確に質的に異なった職業であると言えます。このような職業を選択し、続けていく人は、当然自分の研究に対して強い熱意を持っている人ばかりです。結婚や出産・育児をすることなく研究一筋で生きる女性研究者も多いです。しかし一方で、結婚し、出産・育児をしながらも研究を続けていきたいというニーズも多く存在します。そういった人たちも研究者ですので、ライフイベントを理由として長期に完全休業することを望みません。完全休業の期間が長ければ長いほど、自身の研究が遅れる上、学生指導にも支障をきたすからです。

今、研究か育児かという二者択一を迫るのではなく、産前産後最低限しっかりと休んで回復した上で、育児をしながら研究も続けられる職場環境が求められています。出産を決めた女性研究者に、産前産後に必要な休養をとらずに無理して働き続けることを強要する環境であってはなりません。先生は、ご自身が先輩研究者から受けた参考になったアドバイスとして「育休・産休制度を積極的に利用することが、次世代のためになる。」という言葉を挙げられました。それは、このような状況を踏まえた発言だったのだろうと思います。多くの女性研究者が制度を活用し、利用実績を作ることが将来の研究環境の改善に結びつき、研究者のすそ野の広がりに結びつくのだと思いました。

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実際に、様々な支援制度を利用しながら研究と子育てを両立しておられる先生のお話は、女性研究者への支援の在り方を検討する上で大変参考になりました。先生のお話を踏まえて、今後、更なる支援制度の発展に向けて取り組んで行きたいと思います。

ランチョン2

ランチョン1