平成30年5月28日(月)(15:00-16:30)、大阪市立大学杉本キャンパス 学術情報総合センター10階研究者交流室において、「女性研究者短期留学報告会」を開催しました。

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【会場の様子】

 今回の報告者2名は、『ふるさと寄附金を財源とした「グローカル人材育成事業(女性研究者支援)」女性研究者短期留学助成金』からの助成を受け、昨年度、海外の大学へ短期留学しました。また、この報告会は、グローバルリーダーの育成、共同研究の推進を趣旨とし、本年が2年目となる文部科学省 科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」の一環として開催されました。

 当日は、本学の女性研究者2名の報告と、ダイバーシティ事業の連携機関である和歌山大学から学長補佐、同大学院観光学研究科教授の竹鼻圭子先生を招き、和歌山大学観光学部の国際的な研究力向上を目指した取り組みについて講演いただきました。

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【堀まどか准教授】


■ 報告者1

 堀 まどか准教授(大阪市立大学大学院文学研究科 アジア都市文化学専攻)

【平成30年3月オックスフォード大学東洋学部に客員研究員として3週間滞在】

報告タイトル: 「オックスフォード大学の教育と歴史―3週間の短期滞在で分かったこと感じたこと―」

 

「境界の文学、文学の境界」をテーマに比較文化や文芸交流史の研究を行う堀先生が、「1914年当時における、詩人・評論家 野口米次郎(東西詩学を融合し、生前は「世界詩人」として有名)の、オックスフォード講演時の各カレッジでの受け入れ状況」や「20世紀転換期のオックスフォード大学への東洋からの留学生と、東洋への関心の状況」、「神智学協会の雑誌やアルバム点検、神秘主義と社会主義との関係」に関する研究成果を報告されました。  現地では、圧倒的な資料集積量を誇るボドリアン図書館等での調査を通じて貴重な資料を得ることができたとのことで、固定観念を捨て、現地で得た情報を手がかりに視野を広げることの大切さと、それが研究に必要な「想像力」につながることを実感した、との報告が印象的でした。  

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【小関珠音准教授】


 ■ 報告者2 

 小関 珠音准教授(大阪市立大学大学院都市経営研究科 都市ビジネスコース)

 【平成30年3月パドバ大学に約4週間滞在】

 報告タイトル: 『イタリアにおける都市とイノベーション:「伝統産業」×「デザイン」』

 

 「イノベーション」「デザイン」という言葉をキーワードに研究を進めておられる小関先生が、「『デザインとは何か』について再度、皮膚感覚で『体感』すること」を目的に現地を視察された模様が報告されました。

パドバ大学との共同研究をはじめ、イタリア各地を精力的に回って、紳士服テーラー、紳士服生地の生産者、靴職人、家具設計者、農家等を訪問した模様を話され、イタリアに根づくデザインの基礎概念とそのイノベーションへの貢献を確認できた、と留学の成果を話されました。

学生時代を現地で過ごした経験を持つ先生の、広い人脈を活かした共同研究のネットワークづくりの様子が活き活きと語られ、これから海外でネットワークを広げていこうと考える研究者にとって、大変興味深く参考になる内容でした。  

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【竹鼻圭子教授】


■ コメンテーター 

 竹鼻 圭子教授(和歌山大学大学院観光学研究科、学長補佐(男女共同参画担当))

報告タイトル: 「和歌山大学観光学部のグローカルな取り組みと女性研究者国際ネットワーク」

 

 はじめに、和歌山大学観光学部のグローカルな取り組みとして、県内での「地域インターンシップ」や、「観光経営」「地域再生」「観光文化」の3つのコースを英語使用で行う「グローバル・プログラム」についての報告がありました。また、「グローバル・インテンシブ・プロジェクト」と題した2008年からの取り組みで、オックスフォード大学をはじめとする世界各地の大学へ多くの学生が留学し、リアルな体験を積んで成果をあげていることも話されました。

 さらに、和歌山大学が国内で初めて観光教育認証(TedQual認証)を受け、日本の観光学教育・研究をリードしている様子や、国際観光学研究センター(CVR)による海外とのネットワーク、去る2018年2月14日に行われたダイバーシティセミナーの模様も報告され、参加者は熱心に聞き入っていました。

 

 報告後の意見交換会では、冒頭、竹鼻先生から二人の報告に対するコメントがありました。

堀先生に対して:

「女性研究者には家事との両立等、時間に制限があることが多く、イマジネーションの機会を失うおそれがある。堀先生の言われたように、まず現地で目にして体験することが大切。」

「食事しながらディスカッションが行われ、伝統的な教育の中心になっている『食堂の価値』を、オックスフォード大学で見極めてこられたことも大きな収穫。」

小関先生に対して:

「非常に多くの場所を回ってこられて、有意義に過ごされたことがわかった。様々な取り組みにおいて、日本とイタリアの違いがあることと思うが、根幹にあるのは『デザインとは何か?』を考えるダイナミックで面白い研究だと感じた。是非その研究を進めていただいて、日本に本当の意味でのイノベーションをもたらす知的な光を当てるよう頑張っていただきたい。」

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【意見交換会の様子】

 その後の質疑応答では、「インターネットでたやすく情報収集ができる現在において、現地での資料収集にはどのような意味があるのか」、「今後の連携に関する展望について」「和歌山大学のグローバル・プログラムについて」等活発に質問が相次ぎました。

 参加者からは、次のような感想をいただきました。

*何より海外と日本との違い、今日時代を取り巻く環境が想像以上に変化している実態を少し見ることができた。

*和歌山大学の取り組みは興味深かった。 今後の「ダイバーシティ」補助事業の取り組みに大いに期待している。

*現地に行くことの重要性を、改めて感じた。