【レポート】第2回 女性研究者国際懇談会を開催しました(平成29年6月22日)
第2回 女性研究者国際懇談会を開催しました(6月22日)
◆プログラム
日時:平成29年 6月22日(木)13:00~17:00
場所:大阪市立大学 学術情報総合センター10階 研究者交流室
◆講師
Silvia Cavagnero (シルヴィア・カヴァネロ) 教授 【米ウィスコンシン大学マディソン校】
◆司会
工位 武治 先生 (大阪市立大学 シニアURA、 特任教授)
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今回の女性研究者国際懇談会においては、男女の教員・研究員が参加し、工位武治シニアURAの司会のもと、まず副学長の池上知子先生(男女共同参画担当)の挨拶と、女性研究者の研究力向上専門部会長の鍋島美奈子先生から、本大学における女性研究者支援事業の取組みについての報告がありました。
その後、シルヴィア先生のプレゼンテーションと、それを受けて参加者の活発な討論が行われました。
化学を専門とし、たんぱく質の折りたたみについて研究されている先生のお話は、理系女性研究者としてのご自身の経験も交えながら、具体的で興味深い内容でした。
◆ウィスコンシン大学マディソン校における理系女性研究者の現状と、同大学の取組み
まず、女性大学院生の数は年々増加傾向にありながら、大学に残って研究職につく者の数は少なく、助教授・准教授・正教授と上位職になるにつれ、その数は極めて少なくなっていく現状が報告され、(大学院生・教授も含めて)女性研究者が研究を続けキャリアアップを目指す際の障壁として、仕事(研究)と私生活を両立できるための環境が整っていないこと、女性に対して無意識のうちにバイアス(偏見)がもたれること、女性研究者の研究成果発表の機会が少ないことが指摘されました。
実際の調査結果からも、女性研究者の方が男性に比べて、物理的にも精神的にも満足度の低いことが示され、女性を取り巻く現状の厳しさを、参加者一同が再認識しました。
◆現状改善に向けたマディソン校における取り組み
まず、経験豊富な者に相談しアドバイスを受けるメンター制度が実施されており、先生ご自身の体験からも、これは非常に重要で役立つものであった、とのお話がありました。
また、キャンパス内での保育所や授乳スペースの確保、育児休暇制度等の育児支援、共に研究者として働く夫婦を同じ大学で採用するプログラム、必要に応じてテニュアトラック期間を延長できる制度等、物心両面からの支援制度が実施されていることも紹介されました。
更に、女性を取り巻く状況の改善を目指して大学内に設置された『女性科学技術リーダーシップ機構〈WISELI〉』主導の取り組みも、続いて報告されました。
具体的には、人事選考における女性の不利益をなくすためのワークショップ、各学部の意識改革を目指すワークショップ、女性に対するバイアス、更には社会に存在するバイアス全般を取り除くためのワークショップが行われていることが紹介されました。
特に、女性に対するバイアスは意識されずに人の心に根差していることが多いため、まずそれに気づかせ取り払っていくためのプログラムをワークショップで提供する必要性が強調されました。
WISELIではまた、助成金制度により、様々なライフイベントの問題を抱える教授職者を支援したり、ランチミーティング等多様な形態の会により、女性研究者に良きロールモデルを示す機会を設けていることが紹介されました。
◆質疑応答と討論
子育て等のライフイベントを経ながらも、研究者として活躍して来られたシルヴィア先生のプレゼンテーションに触発された参加者の中から、熱心な質問や意見が相次ぎました。
メンター制度やワークショップについてもっと詳しく知りたいという意見や、男性の女性に対するバイアスの根強さについての質問に対して、シルヴィア先生はひとつひとつ丁寧に答えてくださいました。
そして、最後に「この懇談会のご招待を受け、大阪市立大学に来られたことをとても嬉しく思っています。市大は女性支援やダイバーシティ推進のためにさまざまなアクションを取っておられるとのこと、素晴らしいと思います。これからも、女性研究者はもちろん、男女の研究者がお互いにネットワークを構築し、協力しやすい体制を作っていっていただきたいと思います。」と強調されて、会は盛況のうちに幕を閉じました。
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【主催/問い合わせ】
大阪市立大学 女性研究者支援室
〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138
tel:06-6605-3661
mail:ocu-support-f[at]ado.osaka-cu.ac.jp (※メール送信時は[at]を@に変更してください)