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【レポート】支援室学生スタッフからのレポート「”両立カフェ”をつくるワークショップ -研究・学業とその他活動の心地よい関係づくり-(平成27年1月23日)」を振り返って

支援室学生スタッフからのレポート 「”両立カフェ”をつくるワークショップ
-研究・学業とその他活動の心地よい関係づくり-(平成27年1月23日)」を振り返って

 

◆プログラム
日時:平成26年1月23日(金)13時00分~16時00分
場所:大阪市立大学 杉本キャンパス 学術情報総合センター 10階 研究者交流室

研究・学業・仕事とその他活動(家事・育児・介護・趣味などなど)の「両立」をテーマにしたワークショップを開催しました。
大阪市立大学女性研究者支援室としては1回目のワークショップ企画。
企画・運営・ファシリテーターという大役をつとめた支援室学生スタッフから当日の様子をレポートして頂きます!

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支援室学生スタッフ 澤田彩(経営学研究科後期博士課程2回生)さんのレポート


▼同じ「女性」でも両立したいことは人それぞれ▼

当日は、自身のワークライフバランスの実現の仕方に関心のある女子学生と女性教員のほか、仕事とプライベートの両立を考えたい方、ワークショップそのものに関心のある方など学内外から大学生・院生5名、研究者1名を含む、多様な女性8名にご参加いただきました。

まず初めに参加者の緊張を解きほぐすアイスブレイクとして、テーブルを離れて円になり、自己紹介を行いました。名前と所属、参加動機に加え、1か月休暇があればどうするかを順番に語り、全員が話し終えるころにはかなり和やかな雰囲気になりました。

次に、ファシリテーター中田さんから、これからやるワークの概要を説明してもらった後、私が記入済みのワークシートを示しながら自身の両立の現状についてお話ししました。その後、実際に参加者の皆さんにワークシートに記入してもらい、その後グループで共有しました。特に研究・学業・仕事との両立がうまくいっていない活動について、要因や改善案まで掘り下げて考えていただきました。

同じ「女性」でも、研究・仕事経験や子育て経験の有無など、立場は様々で、両立したいことは「家事」「育児」「地域活動」「英語」など、人それぞれです。初対面同士ではありますが、自分の悩みや両立のコツを話し合ううちに、場の空気が盛り上がってきました。

 

▼両立のために必要な機会・出会い・場を「カフェ」としてどう実現するか▼

ここまでで明らかになった両立課題を解決する手段として、両立カフェをレゴで作っていくのですが、その前に安斎勇樹先生(東京大学大学院情報学環)に学習環境デザイン論について簡単に講義をしていただきました。学習環境デザイン論とは人間の学習は学習環境(活動・人工物・共同体・空間)によって大きく左右されるという考え方です。この学習環境デザイン論について、具体事例も含めて講義いただくことで、参加者は両立課題の実現をカフェに体現するためのヒントを得ることが出来ました。

レゴによるワークの様子

 


▼手を動かしながらジレンマ解消のアイデアを形にする▼

そして、ついにいよいよレゴを使って両立カフェをグループでひとつずつ作っていきます。大半の方々は、レゴを触り始めるともう夢中でカフェつくりに取り組みました。レゴワーク中のこのような声から、3つのカフェのアイデアが生まれました。

 

 

<リサーチング・コモンズ>
理系の院生と教員が入っているグループは、研究のためのスペースを確保しながら、中心には気軽なおしゃべりや議論ができるコミュニケーションスペースを設置し、さらに気分転換のためのシャワールームも完備しました。
このようなデザインにすることで、ともすればプライベートも研究一色になりがちという問題を解決し、研究を離れることで得られるアイデアやコミュニケーションを誘発するカフェが完成しました。

「リサーチングコモンズ」 〜異分野の研究者が経ち寄り息抜き英語交流ができる〜

<リサーチングコモンズ>
異分野の研究者が経ち寄り息抜き英語交流ができる

 

 

<カフェ・キュイジーヌ>
仕事・研究と育児を両立している方々で構成されているグループは、研究・仕事と家事に両立課題があるという共通認識のもと、ワーキングスペースとキッチン・キッズスペースを内包したカフェを創造しました。

「カフェ・キュイジーヌ」 〜家事をする人が集まり手作り料理をシェアできる〜

<カフェ・キュイジーヌ>
家事をする人が集まり手作り料理をシェアできる

 

 

<青空カフェ>
残った最後のグループは、全メンバーに共通した両立課題が見出せませんでしたが、自分自身のパフォーマンスを高めてくれる重要なきっかけは、自身が背負う役割から離れ、多様な人々とコミュニケーションをすることだという点で一致しました。そこから、芝生の屋外という開放的なスペースで、多様な人々との交流が出来るカフェを創りました。

「青空カフェ」 〜ネット掲示板のようにトピックごとのテーブルに人が集まる〜

<青空カフェ>
ネット掲示板のようにトピックごとのテーブルに人が集まる

 

グループ間でそれぞれのカフェについて発表をしてもらった後、リフレクションを行い、一連のワークショップを振り返りました。現在両立に悩んでいる参加者の方々からは、「時間以外の解決方法が見えてきた」「両立カフェは実生活の両立課題解決のヒントになった」など前向きな感想が聞かれました。一方、将来の両立に悩む学生の方や、現状両立課題を強く認識していない方に対しては別のアプローチが必要だということも分かりました。

8月に受けたワークショップ講習会から半年間かけてワークショップをデザイン・実践してみて、ワークショップという手段を用いた課題解決について難しいながらも手ごたえをつかむことが出来ました。これからも、女性研究者支援という正解のない課題を考え、課題解決に向けて取り組んでいくうえでワークショップを積極的に取り入れていきたいと思います。

 

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支援室学生スタッフ 中田智大(商学部3回生)さんのレポート

 

▼実践段階までたどり着くまでの試行錯誤のプロセス▼

ワークショップデザインに関しては、当日実践という状態に持って行くまでに、まずそれに関連する書籍を輪読して、今回講師として来ていただいた安斎先生のアドバイスも受けながら計画を策定していきました。 その時点ではまだ自分の中に「ワークショップを企画して実践する」ということに対する現実味がなく、それを実行してみる段階で、難しさと混ざり合いながらはじめて身に染みて感じるところがありました。

「実践する」ことで、自分の思考や感性をはじめてドライブすることにつながりました。デザイン業界では、とにかくプロトタイプを早めに作って試行錯誤とリファインを繰り返すことが重要であると言われており、そういった意味でも今回ワークショップデザインを学び、アウトプットまでできたという経験を得られたということ、そしてこのような機会を与えていただけたということに幸運を感じています。

 

▼ファシリテーションの難しさを痛感したが、新しい分野を開拓できた▼

試行錯誤の末ある程度までできたワークショップの計画を、当日はファシリテーションをしていく中で柔軟に変更していく必要がありました。これまで、ファシリテーションの機会を数回経験させて頂くことありましたが、一から「実践する」というプロセスを踏んだのは初めてでした。人前で話すことに特に苦手意識はありませんが、場を回すという経験はこれまで余りなく、苦手意識を持っていました。また、参加者が全員女性ということで緊張もあり、応対など悩みながらの実践となりました。

結果としては、個人的にはすごく難しく、うまくいかなかったな…と思ったのですが、今まで未知の分野・苦手な分野にあまり手を出そうとしなかった自分にとっては、勇気ある一歩を踏み出せたという感じで、新鮮な体験ができたなと思います。そういう意味で、これも試行錯誤、少しずつ経験を重ねてリファインして、 自分のものにできたらよいなと思いました。